Webデザインにおけるデザイナーの作家性

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フリーランスになってからの業務として、主にロゴデザインや名刺・パンフレット等印刷物のデザイン、それとWebサイトの制作や運用といったエディトリアルとWebを中心に仕事をしています。

自分はその二つを結び付けながら媒体を横断し、イメージを構築していくブランディングを得意としていて、いわゆる元請けという依頼主と直接やり取りをする形で働いている。

今回はそういった仕事内容や働き方を通して気が付いたことをまとめてみました。

デザイナーとしての個性を大事にする

UIとかUX、認知科学・人間工学のような分野はまた違うんだろうけど、Webサイトのデザインにおいては作家性のような個性を大事にすることにした。

お客さんから直接ご相談を受けるフリーランスになってからは特にそう意識する場面が多かった。

自分ならこの仕事にどう取り組むのか?どんなゴールを目指すのか?どう関わっていくのか?

そういう一つひとつに決まった方法論や誰かと同じ答えなんてありえないと思った。

あるのは自分らしく取り組んだかどうか?お客さんと共有したゴールに近づけたかどうか?そうした行動と反省、その改善しかない。

プロジェクト管理の手法について学んだり、デザインの基礎を学んだり、ツールの最新動向を追って自分の仕事に取り入れる。ということが勿論ベースにあるんだけど、そうした姿勢がエスカレートして他人がどうしてるのか?とかいくら儲けているのか?といったことにまで気をとられ始めるとものづくりの本質を見失う。

そんなことをあれこれ考えるよりもデザイナーはお客さんの現場に飛び込み、様々な物を自分の目で見て、働く人と関わり、間違っていることがあれば自分を軌道修正しながら形にしていくことの方がデザインという行為の本質に近い気がした。

デザインが人に何かを伝えるための手段であるのならデザイン力と人間力は比例する。

制作実績が次の仕事に繋がっていくことを考えると、テンプレっぽいサイトしか作ってないデザイナーの元には「テンプレで良いから安く作ってよ」っていう仕事の依頼しか来ないのが必然なように思う。

自分の働き方を確立する

だとしたら自分の提供する価値や自分だけの働き方を模索し、確立していった方が仕事は面白いんじゃないだろうか。

自分は制作のご相談を受けるとお客さんと直接お金の話もするし、提案もするし、写真も撮るし、インタビューもするし、デザインもするし、コーディングもするし、Wordpressに組込むし、公開して運用していく。

1人で全ての工程をやれる必要はないけど、それが出来るとデザインする上でとても自由になれるしフリーランスという働き方と相性が良い。

例えばWebサイトのヒーローイメージをただヒーローイメージとして撮るんじゃなくて、ブランドを構築していく上で必要なキービジュアルとして撮れる。どんな構図で何を撮ればクライアントの良さを引き出しターゲットに訴求できるのか?をヒアリングした内容を元にデザイナー自身が考えられる。

これだけでも渡された画像をただXDに配置することとは意味が変わってくる。

現場の生の声をインタビューすることでロゴデザインへのアプローチはよりリアルで確かなものになっていく。

その会社のらしさといったものを引き出すためにデザイナーが出来ることはとても多い気がした。

そしてそれはほぼ毎回、違った化学反応を起こす。

これを下手にページ単価で見積もったりフローをマニュアル化しようとすることで段取り通りに進んだけどペラペラのどこにでもある平凡なサイトが量産されていくんじゃないかと思っている。

サムネイルの写真は現在進行中の案件で撮影したものだ。

プロのカメラマンを入れればもっと強い世界観を作り込めるんだろうけど、デザイナーが撮影をしてはいけないというルールなんてない。

アウトプットの精度を高めるために個性を大事にする

デザインという仕事において何を学び、どう取り入れるのか?どんな関わり方をしてどういうアプローチをするのか?ということはとても大切だけど、その正解を自分以外に求めたり、周りに合わせる必要なんてない。

皆がどうしてるかなんてことより自分がどうするか?の方ががずっと大事。

自分が何を見たか?何を聞いたか?何に感動したか?誰にどう伝えたいと思ったか?そうした感覚や感受性を研ぎ澄ませ、狙った人に正確に伝えるという行為には個性が強く反映される。

使うツールやレイアウトに規則性はあるだろうが、アウトプットに至るまでの過程でデザイナーがどれだけ自分を出せたかで納品物の精度は大きく変わってくる気がした。

極端な話Bootstrapを使ったサイトはやっぱりBootstrapっぽいしテンプレートを使ったサイトはやっぱりテンプレっぽい。

フレームワークの規則性やデザインガイドラインに依存しないクライアントにあったデザインをデザイナー自身が考えていくことに意味がある。

ただデザインするだけじゃなくブランディングに昇華させることではじめて差別化に繋がりはじめる。

僕たちはアーティストではないから、作家性というのは自己表現ではなく他者表現だ。

お客さんと酒を酌み交わし、お互いのことをより深く理解し合い、自分の五感を全て使い世の中に生み出したものを酒の肴に家族や友人と語り合う。

そうして人と深く関わる中で自分に出来ることを考え続ける。その行為全てがデザインであり、感じた全てがデザインの血肉になるような気がする。

誰かが大切にしていることを正確に汲み取り、それを世に伝えていける人でありたい。

だからこそデザイナーとしての個性を大切にしようと思った。

時代が変わりフリーランスという働き方が様々なメディアでも注目され、多くのデザイナーが組織に属さず自分の名前で仕事をしている。

企業との関わり方も提供する価値も多様化し、それぞれの個性が発揮でき、様々なコラボが生まれる世の中になれば、仕事はもっともっと楽しくなるんじゃないだろうか。

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