デザイナーの仕事
デザイナーの仕事ってなんでしょう。
その在り方は時代によって変わり続け、求められるスキルセットも多種多様になってきたように思います。近眼でパソコンのモニターより遠くのものが霞んで見える老いぼれなので、最新のツールやテクノロジーについていくのがそろそろキツいです。
そこで必要なスキルやツールではなく、志的に焦点を絞りデザイナーの仕事について語りたいと思います。
その人が大切にしていることをどう伝えるのか?
デザイナーにとって【見た目を整える】能力はもちろん大事だけど【差別化】をどう表現するのかがとても重要だと思います。
大事なのは【派手にすることや目立たせること】じゃなくてそもそも【その人が大切にしていることをどう伝えるのか?】ということ。
だから僕にとってデザイナーの仕事には聞くことが含まれている。
どこを目立たせてどこを目立たせないか?はもう少し後の工程で出てくる微調整だ。
お客さんが何を大事にしているのかに耳を傾け、ターゲットとなる消費者にも選ぶときに気になることを聞く。
言葉にすると「両者の意見を聞き、伝えたいことが独りよがりにならないよう調整し、必要としている人にちゃんと選んでもらえるようにすること」がデザイナーの仕事なのかもしれない。
少なくとも僕にとってはそうだ。
誰かに何かをちゃんと伝えることはとても難しい。
何故ヒアリングを大事にするかというと、デザインに限らず誰かに何かをちゃんと伝えることはとても難しいからだ。
もしそれが簡単なら、この世から争いごとなどとっくになくなっているだろうし、クライアントの魅力が引き出せていないwebサイトがこんなにも溢れたりしていないだろう。
先日、ご贔屓にしていただいている美容院のブライダルメイクコンテンツ作成のため 担当の方に「仕事のときに大事にしてることってなんですか?」とおもむろにメールしてみた。
「少し話しませんか?」と返信をいただき、1時間ほどお話しをして電話を切ったのだが、後日ブログにそのときのことを書いてくださっていた。
「今日という日を、人生で一番綺麗で、嬉しくて、一点のくもりもなく幸せな日にしてあげたい」そんな想いで仕事をしています。と。
素敵な言葉だと思った。
誰かの想いを伝えるためにデザインがどうあるべきなのか?
きっと全てはそこから始まる。
サービスの内容や料金。他者との比較ももちろん大事だけど、こうした想いが正しく伝わらなければ人は動かないんじゃないだろうか?
進化し続ける文明の中で、デバイスやソフトウェアは変わり続けデザインの流行も廃れ続けていく。
けれどその人が大事にしていることを伝える能力は100年経ってもその価値が変わらないような気がしている。そう信じたいだけかもしれない。
僕はこれをブランディングと呼んでいるけど、自分が信じてきた価値観はいつの間にかお客様からご依頼をいただけるようになり、嫁は経理を学び、独立後に僕の思想がちゃんと会社として仕事になるようサポートしようとしてくれている。
働くことの意味や、責任を持つことの理由が少しずつ分かりはじめた気がした。