アオバトさんのワークショップ「余命10年だとして」に参加してきました。
2019年5月25日にアオバトのデザイナー前崎さんが開催されたワークショップ余命10年だとしてに参加してきました。
前崎さんは蒜山耕藝や嶺川養蜂園、でん一農場のブランディングをされていて、一度お話をお聞きしたいとずっと思っていました。
絶対に行こうと思っていた企業の暖簾づくり講座 前編・後編の開催を両方見逃すという痛恨のミスをおかし、途方に暮れていたところ開催されたのが今回の「余命10年だとして」でした。
開催場所や告知のタイミングもあってか、今回の参加者は私とジョーさんの二人でしたが、そのおかげで
前崎さんとじっくりお話ができた。
同じ名前のジョーさんとお互いの人生設計について語り合えた。
と、どちらもとても貴重な経験をすることが出来ました。
ワークショップから時間が経ってしまいましたが、当日の内容を振り返ってみたいと思います。
当日の大きな流れ
- 自己紹介
- 昼食
- 余命10年を考える
自己紹介は覚えてもらえない。
まず最初に必ず行われるであろうそれぞれの自己紹介からワークショップは始まりました。
二人の自己紹介が終わったあと、前崎さんからおもむろに「お互いの自己紹介の内容を説明しあえますか?」という質問をされました。
今回は二人ということもあったのでギリギリ説明することが出来たのですが、基本的に人の自己紹介というのは記憶に残らない。ということを教えてもらいました。
これはほんとにそうだと思った。自分自身ジョーさんの自己紹介を聞きながら半分は自分の自己紹介を考えていたりした。
今回ご一緒させていただいたジョーさんはじぶん発見舎grandeで、じぶん米フェスという田植え体験を子供たちに提供されています。
自分で食べるお米を自分で育てるという体験を通し、自然と触れ合うことで子供本来の素を引き出したり、家族みんなで体験する場を作る活動をされているそうです。
facebookを拝見させていただくと、話されていた通り子供たちがいきいきと田植えを楽しんでいるのが分かりました。
自分のことを相手に正しく伝えるために
「人の自己紹介は基本覚えていない」ということを意識した上で、どうすれば大事な部分が伝わるのか?(伝えるべきところはどこか?)ということをやってみました。
ポイントとして「そもそも」ではじまり「つまり」で終わると伝わりやすいということを教わったので、実践してみると確かに話していてしっくりくる感じがしました。
セミナー等で一言二言自己紹介するときなどには前置きなども省き要点だけを話し、面談等では自分の役割や専門や屋号を覚えてもらうために「そもそも」と「つまり」を意識してみようと思いました。
伝わりやすい形に出来ているか?
今回のワークショップを通して出た答えからもう1歩踏み出して考えるということを教わった気がします。
例えば私が開業届を出した屋号はDesignStudio 35mmという名前です。
個人的には自分のルーツだったり、家業で感じたことを受け継ぐ。という気持ちが乗っかっている思い入れの強い名称なのですが、想いが強すぎてしまいそれが相手に伝わりやすいかどうか?という視点が抜けていました。
「35mm=フィルム」「実家がカメラ屋だった」という個人的に重要な部分ではあるのですが、今回の自己紹介は覚えてもらえないという文脈で話すと(三宅さんってカメラ屋なんだ…)という誤解を招く可能性が出てきます。
フィルムのように色あせないデザインを提供したいという理念はかなり曖昧模糊とした感覚的なものです。
伝え方もさることながら、その前段階で伝わりやすいものにすることが大事だということを学びました。
屋号にしろブランド名にしろ商品名にしろ、どんな名前でも付けられるからそれは得てして個人的な主観が大きく入りすぎてしまいがちになる。
理念とかコンセプトに個人的な思想が強く出るのは仕方がないけれど、伝わりやすいかどうか?という視点で見つめ、誰かと一緒に議論するだけでも違った見え方ができる気がしました。
余命10年を考える
昼食をはさみ、いよいよ余命10年を考える。
なりわい史という線グラフに職務経歴とその時の自分の状態を折れ線で記していくことで、今までの仕事とこれから10年を記していきました。
何故?を問い続ける
ジョーさんのなりわい史を見ているとき、前崎さんのヒアリングにも注目させていただきました。
自己紹介の仕方や名刺について話し合っていたときもそうでしたが、前崎さんが本当に愚直に何故?というのを掘り下げているのがとても印象に残りました。
*1デザイナーはWhy?を考え続けるという話がありますが、何故?を繰り返し問い続けることでジョーさんがgrandeを始めた理由や、対象となるのが子供たちだけではない可能性まで引き出されていくのを見てその意味を実感しました。
最初から上手くいかない
自分のなりわい史の詳細は割愛しますが、無責任に楽しかった学生時代を卒業するとグラフは下降、就職が決まったことで一時的に上昇するも転職したタイミングで再び下降。
停滞した後、さらに下降。その後大幅に上昇したのが現在。10年後に向けて上昇していくという推移を辿っていました。
ワークショップのあと振り返っていて気が付いたんですが、新しいことを始めるときだいたいこの軌道を通るんじゃないだろうか。
その度に俺変わらなきゃ、と切実に思った。振り返ると20代全部ドブに捨てたみたいな人生だったけど、あの頃の悔しさが今の自分を築いたんだと思う。なんかあってもそれをバネにすればいつか必ず過去の自分を超えられる。そう思うとどんなつらいことも概ね乗り越えていける気がした。いくつになっても。
— 三宅 敦@designstudio 35mm (@ds_35mm) 2019年6月15日
死にたいくらいどん底に落ちたときもあったけど、その悔しさをバネにしたからこそ大きく上昇出来た気がしています。
お二人のなりわい史を見せていただいたのですが、どちらも一度は仕事で辛い状態を経験をされていました。
このことに気付けたのは良かった。未来を考えるとき、不確定要素は本当に沢山ある。
講師役の前崎さんでも順風満帆な人生を歩んできたわけじゃなく、壁にぶつかり試行錯誤をしているし、今もしている。
自分は会社勤めを辞めて個人事業主になったとき、レギュラーの報酬見込みが見えなかったりやっていけるかどうかなどとても不安でした。
結局のところあらゆることが皮算用でしかないから。
なりわい史で過去10年を振り返ってみると新しいことに取り組むとき、最初は上手くいかないけど改善や工夫をすることで徐々にでも上向きになっていくことが分かったことで最初からうまくいく必要はないんだと思えるようになりました。
これを経験と呼ぶのかはわからないけど、最近短期的に成果を求めるのではなく、長期的に取り組み徐々に目標水準に近づけていくということが肌感覚で分かってきた。すぐに結果は出ないけどねばると出たりする。
年齢や経験を重ねたからこそ感じれるようになった感覚を大切にしたいと思いました。
過去を鑑みて未来を見据える
余命10年としたとき、自分が成し遂げたいと思うことは明確に決まっていたのですが、ワークショップを終えてそれは少し変わりました。
表現が難しいのですが、自分の過去を振り返ってみてもう少し大切にした方が良い経験と、今ある知識や固定観念にとらわれすぎない方が良いのかも…と思うことが何点かありました。
具体的に言うとやはり過去10年間WebデザイナーとしてWebを主戦場にしてきた経験は活かした方が良い。
それとADやブランディングというデザイン全般を監修するような見せ方は今はあまりしないようにしようと思いました。
情けない自己分析ではあるのですが、独立したからって九州ADCの人たちと同じ土俵で勝負出来る経験値はないし、それよりも自分の培ってきたことや自分の良さを改めて見つめ直し、自分なりの価値観を追求しようと思いました。
余命10年だとして「今自分が純粋に楽しいと感じることは何だろう?」「絶対に嫌なことは何だろう?」「やってきたことは何だろう?」「活かせるのは何だろう?」と掘り下げ続け、誰かにWhy?を問いかけてもらうと10年後に記す内容は限りなく現実的なものになっていくように感じます。
今に至るまでにどういう選択をしてきたのかを振り返り、培ってきたことを活かしながら目標に向かって進んでいこうと思います。
自分は自己紹介でipadを触ったりしましたが、あえて電波が届かない場所でのワークショップを受けてみて、スマートフォンの存在を忘れるほど集中していました。
デジタルデトックスという言葉もありますが、通信状況やデバイスが発達したことで、自ら遮断するという状態は意図しなければ作れないんだと感じます。
前崎さん、ジョーさんと山の中で過ごしたことで自分の人生を見つめ直すことが出来たと思います。
ありがとうございました。
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